ショパンの楽譜、どの版を選べばいいの?の講座を聞きに行きました!

2025年3月15日に楽譜講座「ショパンの楽譜、どの版を選べばいいの?~楽譜から見えてくる、本当のショパン像~」に参加しました。この講座を聞いて、ショパンを弾くときにどの版(エディション)で練習するべきなのか分かりました。どれが良いかはこのブログの最後に書きますので、是非最後までお読みいただけると幸いです!

私は新しい曲を譜読みするときに、どのエディションが良いのか様々な楽譜を見比べてから譜読みします。その理由は、エディションによって、音、音価(音の長さ)、フレージング、音の強弱、指番号などたくさんの違いがあるからです。一般的にショパンのエディションは種類が多いと言われています。その理由は三つあると言われています。

  1. ショパンはドイツ、フランス、イギリスで初版を出版しているが、それぞれ出版された時期が微妙にずれていて、初版が出版されるたびにショパンが書き換えたりしたため。
  2. ショパンが弟子にレッスンしているときに書き込みをし、ショパン自身が「初版よりこっちの方がいい!」となったため。
  3. ショパンの死後に何人もの弟子が出版しているため。

もしかすると、ショパンは楽譜を開くたびに、サロンで演奏するたびに、弟子にレッスンするたびに、書き加えたり、書き換えたりしていたのかもしれませんね。

一般的にショパンの曲を練習するとき、初版を見て練習することはありません。主に、パデレフスキ版、エキエル版で練習します。その他に比較するエディションは、ミクリ版、ペータース版、ヘンレ版、コルトー版があります。コルトー版は練習方法が細かく書いてあるので、とても参考になります。需要があるので、日本語版も出ています。練習方法にお困りの方は是非参考にしてみてください。

上記のように様々なエディションがありますが、今から15年ほど前まではパデレフスキ版で演奏することが主流でした。ショパン自身が書いた初版では、臨時記号を使うときに同じ小節の中でシャープとフラットが混在しています。例えば、右手ではファの#、左手ではソの♭と書いてあると見づらいですよね。そのため、パデレフスキ版では見やすくするために統一しています。しかし、本来のショパンが書いた楽譜とはかけ離れてしまっているので、今は推奨されているエディションではありません。

そして、現在推奨されているエディションは、エキエル版になります。その理由は、ショパンの自筆譜に最も忠実であるため、世間的にも信頼性の高いエディションになっています。また、エキエル版の特徴といえば、ヴァリアントの豊富さです。ヴァリアントとは楽譜に書かれている音のほんの短いある一部分を別の音でも書いてあることを言います。簡単に言うと、エキエル版の楽譜には、大譜表の上に小さい五線に音が書いてあります。これは、どちらで弾いても良いという意味になります。

今年は、5年に一度のショパンコンクールが開催されます。一応エキエル版が推奨されていますが、他の版で演奏するピアニストもいるかと思いますので、是非違いを見つけてみて下さいね!

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ピアノを中畠由美子、中島昌子、北川正、矢野裕子、楊麗貞の各氏に師事し、ソルフェージュを鈴木しのぶ、上田真樹の各氏に師事。
桐朋学園大学音楽学部ピアノ専攻卒業後、子供から大人まで幅広く指導を行うピアニスト

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