2024年9月29日銀座王子ホールにて私の師匠楊麗貞先生のコンサートに行ってきました。色々書きたいことはありますが、今回は特に印象に残った曲の説明と感想を書きたいと思います!楊先生の演奏を聴くのは今年のゴールデンウィークぶりでした。(楊先生のプロフィールや今回のコンサートはこちら)
コンサート全体の感想
自分の演奏と比較してみると、先生の演奏はお客様もその曲の空気に入り込める力があるので、私も演奏に引き込まれました。加えて音色の種類が多いのも特徴的で、丸く柔らかい音色、鋭い音色、冷たい音、温かい音、輝いたような感じの音色などを感じました。曲の中で何度も雰囲気が変わるタイミングがありますが、それに併せて全く違う音色が奏でられるのでどのような曲なのかが自然に想像できます。最後に音がキラキラしています!!キラキラというのは高音がはっきり響いているという感じで、コンサートを聴く度に新しい発見があるのでとても勉強になります。
マズルカop.50(ショパン)
私はマズルカop.59で修了試験の演奏や修士論文を執筆するために深く勉強しました。修了試験のために楊先生の指導を受けていましたが、当時のレッスンを思い出しながら聴いていました。例えば、2拍目又は3拍目に重心があるというマズルカ独特のリズムを教えていただきました。
話はそれますが、拍と重心について簡単に補足すると、音楽のリズムはドンドンドン…と一定の間隔で音が繰り返されます。この繰り返しのひとつひとつを「拍」と呼びます。そして、その拍の中で、特に力強く聞こえたり印象に残ったりする部分を「重心」と呼びます。多くの音楽では1拍目が重心になりやすいです。簡単に言うとリズムの中で1拍目が最も力強く、他の拍よりも目立って聞こえるということで、なぜかというと1拍目がリズムの始まりであり、新しいフレーズが始まる場所だからです。
一方でマズルカは、ポーランドの民族舞踊が起源です。この舞踊では足踏みや回転などのステップが特徴的で、そのリズムが音楽に反映されています。先生の演奏からポーランドの民族舞踊を頭の中で容易にイメージをすることができました!
ピアノソナタ第3番(ショパン)
ショパンの中でも一番の大作と言われる作品で、ショパンの集大成と言っても良いと思います。この曲も楊先生に教わった曲で、卒業試験、修了試験など節目のタイミングで何度も弾いた思い出の曲です!この曲は和声感や、リズム感、テクニック的なこと、日々の練習方法等を教えていただきました。特に2.3楽章は私が教わった時とは違う演奏で新しい発見がありました。
マズルカop.68-4(ショパン)
一般的にこの曲をコンサートであまり演奏されないので、曲の紹介から始めると、この曲はショパンが亡くなった1849年に作曲されました。そのため、きちんとした自筆譜が残っておらず、他の作曲家らがショパンならこう書くかなとイメージして作り上げられた作品です。ショパンの晩年の曲ということもあり、私はショパンの人生が詰まった曲だと思っています。
マズルカのop.56や59は左手と右手で異なる舞曲のリズムを弾くので複雑なリズムになっていますが、この曲は初期に戻ったようにも感じるリズムで書かれています。その素朴さを楊先生の演奏から感じることができました。
ソナタK.455(スカルラッティ)
この曲はテクニック的に難しいですし、コンサートの最後にこの曲を弾くには体力が必要なので、楊先生の体力と集中力に驚かされました。テクニック的に難しいポイントとしては同音連打が多いことです。同音連打する際は鍵盤が上がりきる前に同じ鍵盤を押す必要があるので、きれいに音を鳴らすことが難しいですが、1音1音はっきり聞こえました!
最後に
久しぶりに恩師の演奏を聴くことができて幸せな時間を過ごすことができました。演奏後にお話する機会がありましたが、いつも通りチャーミングで素敵でした。私も良い演奏ができるよう、もっともっと勉強しようと思える時間になりました!